世界には色々な社会問題があり、各国は貧困の問題を抱えている

最終更新日 2024年11月1日 by arketcro

(1)豊かに見える先進国でも貧困問題を抱えている

世界には色々な問題があります。

インターネットの技術によって、諸外国が今まで以上に交流を深めています。

情報がお互いに気軽に交換可能になった今だからこそ、今までは伝わりづらかったニュースもネットのおかげで、世界中の人々が瞬時に知れるようになりました。

地球規模で見れば多種多様な問題が各地域に存在しており、現実問題として一つも社会問題を抱えていない、楽園の様な地域は残念ながらありません。

 一見すると経済的に豊かで最新の科学技術と医療技術に囲まれている先進国でも、その国特有の深刻な問題が常に横たわっており、日本を含む民主主義国家は複合的な課題に見舞われています。 

政治不信や長引く経済不況、ダイバーシティ社会を目指す上での人々の意識格差、地方経済の沈下や製造業での人手不足、地球温暖化による気候変動、一部国民のモラルやマナーや公衆道徳の低下など、ひと昔前とは違った問題に遭遇し、各分野のリーダーはその解決に追われているのが現状です。

数ある社会的な課題の中でも、ひときわ近年世界的に目立ってきているのが貧困となります。

今までは発展途上国だけの問題だと言われて来ました。

ところが米国や欧州、そして日本や韓国や中国など、一見すると経済的に恵まれている大国でも、人々の貧困が頻発し始めています。

その原因は国によって様々ですが、いわゆる富の再分配が円滑に進んでいない事が第一に挙げられます。

(2)資本主義の意味と現状

資本主義を採用する先進各国は、基本的に強い者が勝つ世の中です。

努力した人が報われて、独自のアイデアと技術で魅力的なサービスと製品を提供する企業が大きな利益を得る、これは個人や企業にとって、やりがいが生まれる世の中の仕組みです。

それまでの社会の仕組みは、生まれ持った身分などで一生のお仕事と報酬が決まるという大変不平等な面がありました。

資本主義は平等性が高いルールとして各国で採用され、今後も続くものと思われますが、そこにも一定の弊害があるのです。

賢くて強い者が勝つ資本主義の原則は非常に分かりやすく、貴族や王様が富を独占していた時代からすると革新的なルールであり、国民に広く平等性を与えましたが、一方で資本主義はシビアな弱肉強食の側面が潜んでいます。

公平な条件のもと、競争をするのであれば確かに資本主義はフェアな仕組みですが、実際はそうなっていません。

例えば、豊富な資金力を持つ大企業と下町の町工場ではやはり後者の方が経済的に苦しく、同じ条件で製品の開発が出来ません。

大企業は潤沢な開発費と有能な人材を抱え、場合によっては社外の技術を臨機応変に借りたり、海外の企業を買収出来ます。

元々富を独占する者が、豊富な資金力を武器にして更に大きな利益を得る、たいして元々経済的に困窮する町工場や一般の労働者は、投資に充てる資金が得られず、文字通り労働によって得た対価で、日々細々と暮らすのが精一杯となりました。

本来であれば富の分配という資本主義の欠点を補うべきはずの対策が必要なのですが、政治家や経営者は現状、有効な打開策を講じていません。

そのため親の代、あるいは祖父祖母の代から裕福な家は、どんどん資本主義の良いところを得て富の獲得していき、反対にいわゆる中流の家系以下の一般市民は労働によって対価を得るしかなく、近年では物価の上昇や長引くデフレ、各種税金の高騰等で日々の生活に困窮し始めています。

(3)貧困への連鎖が様々な社会問題へとつながっている

経済は生き物であり、お金の流れが国内で循環しなければ一部の層に財産が集中するのです。

いわゆる富裕層と呼ばれる人々が、ひと昔前であれば「ノブレス・オブリージュ」の発想を持っており、事業で得た利益や相続した財産の一部を、社会へ積極的に還元していました。

ところが近年ではそういった視点がなく、欧米諸国では今でもノブレス・オブリージュの思想が根付いているにも関わらず、むしろ日本国内では富裕層の方々が、いかに税金を日本の国へ納めないか、そういった税金対策に奔走しているのが実態です。

そして格差の固定化が、世界の貧困をさらに加速させています。

親が貧しいと子ども達もまた満足行く教育が受けられず、安定した職業につけません。

日本国内でも社会人に求められるスキルが昭和の頃と比較して非常に高くなりました。

昭和の頃であれば、充分に採用されていた人材が、即戦力性をシビアに求める企業側の都合で採用されていません。

本人がいくら努力しても、家が貧困だったため満足行く教育が受けられず、格差が子どもの代にまで引き継がれ、若者の貧困化が加速し、それが少子化や人材不足や年金問題といった、他の社会問題を誘発させています。

既に格差の固定化は十年以上前から将来的に重大な問題になると識者から指摘されていましたが、政治家や経営者の方々は有効な対策をやはり打っておらず、むしろ若年層や現役世代ではなく、高齢者向けのサービス拡大や補助や助成を拡大して来ました。

この結果、世代間の格差も拡大してしまい、貧困は年齢や家系によって左右されはじめ、資本主義の弊害によって逆に中流以下の一般家庭が不利益を受け始めています。

 

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