医学に関した専門的な立場で、職場の労働者の健康管理などをする医師を産業医といいます。
事業者は事業所の規模によって選任して健康管理をしないといけません。
主治医だと診断と治療をする医師のことをいいますが、産業医は診断や治療をしないで働けるか・働けないかを判定します。
患者が復職したいと言ったときに、主治医は職場や業務のことがわからないので日常生活がおくれるレベルで診断を出しますが、本当の意味で復職が出来るかを見極めるのが仕事です。
少なくとも毎月に1回は作業場などを巡視
少なくとも毎月に1回は作業場などを巡視して、作業方法や衛生状態に有害の恐れがあるときはすぐに労働者の健康障害を防ぐための措置をしないといけません。
オフィス環境だと室内照明・作業環境照度・温湿度管理・換気・空調、作業環境やごみの分別、トイレや給湯室などの衛生管理などがあります。
防災や安全だと非常口や消化器、救急用具などの管理などがあります。
他にも社員の健康診断後のチェックとフォローも行います。
事業者は健康診断の結果に基づいて、当てはまる労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定める医師または歯科医師の意見を聞かないといけません。
健康診断で異常があると診断された労働者については、産業医と面談を実施したり必要によって意見をもとに就業上の措置をします。
また、定期健康診断結果報告書を労働基準監督署に提出するときには、医師の押印が必要です。
従業員の保健指導も仕事の一つ
療養のための休暇や休職、働く場所の変更や作業転換、労働時間短縮や深夜業の回数を減らすなどこれらの判定を行ってから意見書に記入します。
従業員の保健指導も仕事の一つで、長い時間の労働と脳や心臓疾患の発症には深い結びつきがあるとわかっていて、長時間労働の疲労の蓄積が認められる労働者に対しては医師の面接の実施が義務付けされてます。
面談には、荷重労働以外にも有初見者やメンタル相談、休職や復職判定も含まれます。
常に雇用する労働者が50名以上の事業場だと衛生委員会を開催しないとならず、業種と雇用人数により安全委員会の開催も必要です。
委員は事業主と労働者側の人数が同数か労働者の人数が多いメンバーで構成し、企業によって30分から1時間行いところから、10分から20分ぐらいで簡単に終わらせるところもあります。
特に多い内容は、長時間労働の部署ごとの報告や視点などの労災報告、医師の講話などが主で他にも事業主や労働者からの提案でテーマが決まります。
労働者からだと休憩室などの充実や、事業主からはノー残業デーなどです。
産業医を選任しないといけない事業場の基準
産業医を選任しないといけない事業場の基準は、50名以上の労働者がいる場合は医師に毎月1回以上は事業場を訪問してもらって、労働者の健康管理指導を行います。
月に80から100時間以上の残業をする人がいる場合は、平成20年からは全ての事業場で労働者の疲労蓄積の程度を把握して本人の申し出で医師の面談を行い、結果の記録を5年間保管する義務があります。
訪問実績は、健康指導などを行った面接指導結果報告書などの面談記録を保管しているかどうかを、労基署の立ち入り検査で調べます。
選任する医師の数は、労働者が多いほど業務量が増えるので、それに伴って人数や専属または嘱託で定められてます。
嘱託は、常時いる労働者が50~999名の場合で、非常勤で月に1回でも可能です。
専属は1,000名のときで、3,000名以上いるときには専属を2名以上選任しないといけません。
ちなみに非正規雇用も労働者数に含まれていて、事業者の安全配慮義務の観点から定期健康診断の実施の有無関係なく公式な従業員としてカウントするようにと労働基準監督署からの回答も変わってきてます。
健康相談を希望する社員がいるときは社員の健康について相談を受ける
大事な業務の一つに健康診断後などで、健康相談を希望する社員がいるときは社員の健康について相談を受けます。
ストレスチェックの高い人や長時間労働面談の対象者に、相談という形で面談をすることもあります。
休職面談は、休職希望の社員がいるときや体調不良で欠勤・遅刻・早退が続くなどの状況が確認されたときに面談をします。
休職は本人からの申し出が基本で、申し出があってから面談をするのが一般的です。
職場へ復職したい社員がいるときには、社員へ復職面談を行ってから症状の回復程度を把握し復帰可能かを判断します。
復職後の労働条件も、勤務の軽減などが必要ならその期間を定めて就業制限の指示を行います。
また、ストレスチェックの実施者としてストレスチェックの計画から実施、終わるまで関わり、その結果高ストレスで面接指導が必要な人には面接指導も行っていきます。
長時間労働者面接指導では、時間外・休日労働時間が1月あたり80時間を超えていて、疲労の蓄積が認められた労働者に対して申し出があったときに行い、1月あたり100時間を超える研究開発業務従事者には申し出がなくてもします。
まとめ
面接を行って、ストレスや他の心身状況や勤務の状況などを確認し、それで社員のメンタルヘルス不調リスクを評価して本人へ指導し、必要によって企業の適切な措置へと繋げます。
さらにセルフケアのアドバイスや専門医の紹介などもしたりします。
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